2026年1月20日、spongeで絵本の楽しさと効果を体験するワークショップが開催されました。 この取り組みは、特定非営利活動法人全国こども食堂支援センター・むすびえが進める「絵本でつながるまちとこども」プロジェクトの一環として行われたものです。 絵本をきっかけに、子どもと大人、地域の人たちがつながる。そんなこども食堂の新しい可能性を感じる時間となりました。

こども食堂を支える「むすびえ」の取り組み

▲こども食堂について説明するむすびえの甲斐裕美さん
当日は高校生以上の大人を対象に、ボランティアやこども食堂の関係者など 20数名が参加しました。 会場となったspongeで普段開催している「渋谷センター街こども食堂」では、食事の前にワークショップを行っています。今回は地域の大人たちが集まり、絵本の楽しさや読み聞かせの意味を体験しました。
▲渋谷区SDGs協会の理事、佐々木つぐみより紹介
はじめに、渋谷区SDGs協会の理事である佐々木さんより、渋谷区SDGs協会の取り組みについて紹介がありました。渋谷センター街こども食堂をはじめ、子どもを中心に多世代が交流できる場づくりや、企業や地域と連携したワークショップなどを行っていることが説明されました。 今回のワークショップを主催したむすびえは、全国のこども食堂を支える中間支援団体です。 こども食堂は「子どもが一人でも行ける無料または低額の食堂」として広がりましたが、現在では子どもを中心に地域の人たちが集まる多世代交流の居場所としての役割も大きくなっています。 むすびえは、こうした全国のこども食堂をつなぎながら、企業や自治体、地域団体と連携し、活動を支援しています。 今回の「絵本でつながるまちとこども」プロジェクトでは、絵本を通じて子どもたちの体験を広げるとともに、こども食堂を拠点とした地域の交流を生み出していくことを目指しています。 このワークショップは 全6回のシリーズ企画として行われ、今回はその第1回として対面形式で開催されました。 絵本がこども食堂に増えていくことで、子どもたちが自然と絵本に触れる機会も増えていきそうです。

絵本がもつ5つの教育的効果

▲絵本講師の磯野未夏さんによる講義
ワークショップでは、NPO絵本で子育てセンターの絵本講師・磯野未夏さんによる講義が行われました。 講義では、絵本には子どもの成長にとって重要な 5つの教育的効果があることが紹介されました。 まず一つ目は 「言葉の習得」です。 3歳までに3万語の言葉を聞くかどうかで大きな差が生まれるという学術的知見を紹介され、幼少期にどれだけ言葉に触れるかは、その後の語彙力にも大きく影響すると言われています。絵本は、子どもが豊かな言葉に触れる機会を自然につくります。 二つ目は「コミュニケーション能力」。 言葉は良い意味でも悪い意味でも力を持つため、適切な言葉遣いの習得が重要であることを強調しました。絵本の登場人物や物語について話すことで、子どもは言葉の意味や使い方を学びます。 三つ目は「想像力」です。 絵本の世界では、文字に書かれていない部分を子ども自身が想像しながら物語を広げていきます。 SNSの炎上問題は想像力不足と読解力不足が原因であり、絵本を通じて相手の気持ちを考える力を育成することの重要性を指摘されました。 四つ目は「心の育成」。 心は体と同様に育てなければ育たないものであり、心を揺さぶる体験が必要であることを説明しました。物語を通じてさまざまな感情を疑似体験することで、子どもの心の成長にもつながります。 そして五つ目が「読み手との絆」です。 絵本は内容だけでなく、「誰に読んでもらったか」という体験とともに記憶されます。読み聞かせは子どもにとって特別な時間になると磯野さんは話しました。

大人同士の読み聞かせ体験

講義の後には、参加者同士で絵本を読み合う体験が行われました。 二人一組になり、お互いに絵本を読み聞かせます。 大人同士で絵本を読み聞かせするというのは、普段あまり経験することがありません。筆者自身も最初は少し照れくさく、「大人同士で絵本を読むのは少し恥ずかしいかもしれない」と感じていました。 しかし、実際に読み聞かせをしてみると、不思議と絵本の世界に引き込まれていきます。そして今度は、相手に読んでもらう番になると、ゆっくりと物語を聞く時間がとても心地よく感じられました。 「絵本は子どものためのもの」というイメージがありますが、誰かに本を読んでもらう時間は、大人にとっても安心感のある特別な時間なのかもしれません。
▲読み聞かせをしてもらう大学生スタッフのなおや
▲読み聞かせをしてもらう高校生スタッフのゆい
▲読み聞かせが終わったあとはそれぞれ感想を共有しました
絵本を通して、子どもだけでなく大人同士のコミュニケーションも生まれる。そんな体験ができるワークショップでした。

絵本から広がる地域のつながり

今回の6回のワークショップを通じて、むすびえはこども食堂での絵本イベントの開催を支援していくことを目的としています。 この取り組みに合わせて、こども食堂への絵本の寄贈も行われています。 全6回のワークショップを通して ・TOKYO FMより中古絵本10冊 ・バリューブックスより2〜3冊の絵本(全5回にわたり寄贈予定) が渋谷センター街こども食堂に寄贈されました。
こども食堂に絵本があることで、食事だけでなく読み聞かせや絵本イベントなど新しい交流が生まれる可能性があります。 絵本をきっかけに、子どもと大人、地域の人たちが自然につながる場所へ。 渋谷センター街こども食堂でも、今回の取り組みをきっかけに、今後は絵本を活用したワークショップや読み聞かせイベントを開催していきたいと考えています。